乾漆(かんしつ) 主に麻布や和紙を漆で貼り重ね、形作る漆の成形技法です。
 天平から平安時代に盛んに使われた技法で、有名な作品としては、東大寺三月堂の不空羂索観音立像や興福寺の阿修羅像に代表されるような乾漆造の仏像、鑑真和上坐像などがあり、身の回りのものとしては、食器類、箱や武具、印籠などが作られてきました。
 粘土などで型を作り、漆で布を貼り重ねて(張子の原理)形作るので、木地のように割れたりやせることによる歪みなどが生じない利点があります。
 表面を漆で塗り上げられた漆器の、その胎を知ることはなかなか出来ませんが、多くの場合、見かけよりも軽く、曲面の豊かな造形をしており、薄くても強度が高いことが特徴です。
 
<主な乾漆・胎制作の工程>
型に
下地をつける
1-1.錆付け
1-2.錆研ぎ
2-1.切粉付け
2-2.切粉研ぎ
3-1.地付け
3-2.地研ぎ
乾漆の胎を作る4-1.布着せ
4-2.布目揃え
4-3.布目摺り
(強度と厚みを考慮し、布を貼る
枚数(だいたい5〜7枚)を決め、
4の工程を繰り返す。)
下地をつける5-1.地付け
5-2.地研ぎ
6-1.切粉付け
6-2.切粉研ぎ
7-1.錆付け
7-2.錆研ぎ
脱乾した(乾漆を型から外す)様子
白いのが石膏型